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すきなひとほどいじってしまいます…!※オタク・BL・コスプレ要素含。
June / 28 Sat 15:40 ×
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February / 22 Fri 13:19 ×
「だーからさ、お前、現“プリンス”の自覚がなさすぎ!」

俺の立場がない、と言外に含めていう東雲は、1年。
いわゆる彼の後輩、本来ならばここ、3学年に与えられた教室にいることすら若干の非常識を伴うのだが、そこは“次期プリンス”の座が物を言う。

「てゆーかお前は自分のクラスで昼食べろよ!」
「いーじゃん、幼馴染なんだし。かたいこといいっこなし!」

才色兼備で文武両道加えて品行方正。さらには生徒会役員という教師の理想を絵に描いたような優等生の彼と、はたまた問題児―…素行も成績も優秀なだけに、彼の破天荒な様を咎められる教師がいない…―、東雲 尽。
対照的な二人だったが、何故か馬が合う。
東雲が隣へ越してきた小学生の時分から、二人はこのはばたき学園で育ってきた。その当時から何気なく目先のことをコツコツとこなしていた彼と、対照的に「イイ男」を目指して日夜奮闘していた東雲、やはり似ても似つかない努力のかたちなのだが、その賜物として当代、そして次期“はば学プリンス”という評価が与えられている。世に言う「モテる男」、だ。
東雲は“初代”と面識があったので、その名への執着も殊更だったが、肝心の当代、彼にその自覚が足りないのか、そもそも持ち合わせていないのか、昨今の彼はその称号の片鱗もみえない。

恋を、してしまった。

相手は隣町の公立校の女子。
歳は同じだが、それ以外、なにも知らないのが現実。
偶然出逢った日から、更に偶然に偶然を重ねての、やっとのデートにこぎつけたというのに、想いは空しく失敗に終わった。
それも、自分の浅はかさと短絡さによるものだから敵わない。謝罪をしに出向いたものの、更なる誤解を産んで自棄になって…このざまだ。

受験生という大切な時期だというのに、何も手に付かない。
今朝もシャツのボタンを掛け違えたまま登校するという、恥ずかしい失態をしたばかりだ。
突っ伏した机の冷たさが、あの日から火照ったままの頬に心地よかった。ふと目を閉じて聞こえる談笑を探ってみたが、あの澄んだ声が見つかるはずも無い。分かっていてもそうしてまた浸ってしまう、自分がとても格好の悪い男に見えて、また苦しい。

「なんだよ、ぐじぐじしちゃってさ。」
「…ほっとけよ」
「あのな、お前は俺の上に座布団敷いて座ってんだぞ?」

そんなことじゃ困る!
“人の恋路応援部”の部長として、というのが外に向けた名目だが、次期プリンスとして、その名を没落させられたら敵わないというのも本音。そこは彼も重々承知のうえだ。それほどに、東雲における“プリンス”の価値は高い。
東雲は再三になるはりあいのない熱弁をして、不服そうに彼の弁当箱を開け、繊細に巻かれた卵に箸をさした。

「おまえ…僕のだしまき…っ」
「だって今日も食欲ない~とかいうだろ?だったら俺がたべる。」
「自慢の姉さんの手作り弁当があるだろ!?」
「ついで、のな。」

そう、東雲には姉がいる。それもかなりの美人で、頭も良く、器量もいい。
彼の所属する3-Cを率いる教師、あの冷徹な氷室が絶賛する教え子のひとりで、かつ、この弟。彼女が卒業してから4年経つが、今でも彼女ははば学の有名人である。そしていわば、はば学のプリンセスだった。
隣に住んでいる彼にとっても、やはり憧れの人だったし、同時に手の届かない存在だと思った。いつも隣には、男の自分から見ても魅力のある、恋人がいたので。

「わかんないよ、お前にはさ。あんな素敵な人が身近にいるんだから。」

そう、東雲は歳のわりに卓越していた。悪く言えばマセているのだが、今の彼からしてみれば羨ましいくらいだった。おそらく、彼の努力のほかにも、姉という存在が大きいのだろう。少なくとも自分よりは女性の扱い方を知っているのだから。
勉強も出来る、スポーツも出来る、気遣いやモラルも備えていて、流行にも敏感だ。今という時間をを余すところなく楽しんでいたし、魅力的な笑顔は人を引き付ける。きっとそこには自分と同じ、男もいる。
高嶺の花とは、こういう女性をいうのだ。
彼はふと思った。

そうか、ふたりは、どこか似ている。

「…また、『お似合いだと思う』か?」
「……。」
「そりゃま、姉ちゃんのツテではね学の卒業生知ってるけど。校風が自由だから?飾ったヤツ多いし?お前のいう、『お似合い』のヤツがほっとかねーんじゃねーの?」

痛いところをつかれた。とはいえ東雲に気遣いなど、今更求めたところで無駄である。以前はもう少しソフトだったものの、さすがに連日のこの悪循環。いい加減、愛想もつかされたというところか。
そんな自由な気質の後輩に呆れ半分、脱力半分。更に深く机に沈むと、重いため息と軽快なチョップが落ちてきた。

「あのな、お前さ、馬鹿だろ。その子『お似合いだと思う』って言って、怒ってたんだろ?それって…」
「言うな!」
「ユキ…」
「…期待、したくないんだ。」

眉根を寄せた彼を、東雲が傷ましそうに、だが若干の侮蔑を込めて見やった。そして東雲にはわからない不器用さだったから、やはり次の瞬間には逆に呆れてしまって、物が言えない。彼は彼なりに苦しいのだし、結局は彼の問題だったから、アドバイス以上のことはしてやれないし、やらない気でいた。
幼い頃に培った自らのリサーチ能力を駆使してやれば、件の彼女について調べ上げることは簡単だったけれど、彼が望まない以上、それは東雲のポリシーに反する。

「…今日、夕方から雨だってよ」
「は?お前なんでそういうこと朝言わないかな」

今までの彼なら、朝のニュースくらい欠かさず見ただろう。
見ていなかったとしても、カバンの中に折りたたみの傘くらい、入っているのが常だった。本来は、そういう男だ。
東雲は座っていた椅子で舟をこぐ。
窓枠に区切られた暗い空を仰ぎながら、少しだけ彼の気持ちに同調してみようかと試みたが、胸元がしくしくと傷むような気がしたので即座に辞めた。
人を好きになるのは、幸せか、不幸か、どちらかでしかない。
詰まった息を押し込むように、紙パックにさしたストローを強く吸い上げ、未だ突っ伏したままの彼を見る。

苦しいか、そう、苦しいだろう。

彼はこんなにも彼女を好きになってしまった。
だからこそ絶望だけは、したくないと思った。とてつもなく不器用で臆病者だったから。
期待してはいけない、気持ちを押し付けてはいけない。
お互いに大事な時期だし、向こうはただ、偶然の出会いを楽しんでいるだけかもしれない。
大体、自分を好いてくれる理由がない。雨に濡らして、憎まれ口きいて、言い争って…誤解して、誤解させて。

そう思うと、脚は竦んだまま動かなかった。
動いたところで、逢える保障すらなかった。


すきだなんて、言えるもんか。


「…俺にはユキのほうが、意地っ張りに見えるけどな」

お前が素直すぎるんだよ!
買い言葉が出掛かったが飲み込んだ。自分がそういう人間だという自覚はあったし、今回のことの次第も結局はそれが災いしたのだし…この場合は東雲の意見が正しい。
体面を上手く繕ってきたせいか、そうにも素直さというのが自分に足りない。歯に衣着せぬ物言いをする東雲に抵抗はあったものの、嫌悪感はなかった。
そしてやはり、今は少しだけ羨ましかった。


「…すきならすきって、ちゃんと言わねーと伝わんねーよ。」

東雲よりも濃い赤茶の髪を僅かに揺らして、無言。目線で訴えた。
言えるものかと。

すると東雲は珍しく、苛立ちを顕わに歯噛みした。唇を固く結んでから、ぽつりと一言だけこぼす。
その様は、普段の東雲からは考えられなかったから、彼は慌てて身を起こした。
飲み干した紙パックが、成長期を迎えた手の中で、歪に潰れた。

「…他の男に獲られても、慰めてなんてやらないからな。」
「尽…?」

陰る。東雲の眉根が寄る。
長年の付き合いだが、このような表情を彼は数えるほどしか見たことがなかった。
そう、はじめは。そうだ…初等部の卒業式の日だったか。
結局その晩、東雲とその姉の卒業祝に同席したときには、もういつものように笑っていたから、気にも留めなかった。
そのとき東雲の姉も笑っていた。すごくまぶしかったのを、今でも鮮明に覚えている。

「はやく卒業しちまえ」

湿り気を帯びた目を細めて、やはり東雲は笑った。そうして、また彼の弁当箱から鮮やかな黄色をした卵を食んで…そこで予鈴がなった。

雨が、降りそうだった。
傘は持っていない。



少年赤城と、東雲 尽の憂鬱。

絶賛DS版GS2プレイ中。
挙句の果てにだったらいいな妄想。
若干フォモくさくなったのはご愛嬌。

久々に文字書いた…。3年ぶりとかじゃね?ぎゃあ。
書きたいことがいっぱいあって、全然まとまらなかったです…orz
なんか変なとこあっても見逃してやってね、うん。
ほんとに妄想だから。

ただすべての東雲 尽はしおんに捧げる。(笑)(どーでもいいがDS版の音成くん、落とせるらしいぜ…。)


姉ちゃん、誰とくっついたかわかんない仕様にしたかったのですが、これじゃヒムロッチ確実に玉砕ですね。まーしょがないしょーがないw←
個人的に葉月か天童希望。あはははははh。
姉ちゃんは一流大学の4年生です。天童だったら学生結婚なので人妻だよ…(笑
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侮蔑するの?
February / 28 Thu 09:15
侮蔑するの?
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